医療に絶望した僕が、医者を辞めて世界に旅立つ話

健康で文化的な最高の生活を求めて、医者を辞めて無職になりました。ゆるーく世界一周したり、修行したりするブログです。

【書評】医療経済の嘘

みなさんこんにちは、ユキジゾウです。

本格的な夏になりました。

近所では夏祭りの気配が漂ってきております。

花火大会なんてしばらく行っていないので、繰り出したいなと思います。

 

医療経済の嘘、読んでみた 

 

医師の森田洋之さんが書かれた「医療経済の嘘」という本を読みました。

2018年6月発売の新作です。 

(152)医療経済の嘘 (ポプラ新書)

(152)医療経済の嘘 (ポプラ新書)

 

 

内容としては、医療経済学界隈では目新しくないというか、「まあそうだよね」っていう内容なんですけど、森田さんの経験や夕張市の方々との対話が面白く、3時間位で一気に読んでしまいました。

しかし一般の方々はまだ知らないことも多いと思うし、国民の皆様の医療リテラシーを上げることが、この国の保健医療を守る鍵になっているような気もするので、ポイントをまとめて少し紹介したいと思います。

 

医療費が増えても健康にはならない 

 

これがこの本の最大のテーマだと思います。

年々国民医療費が上がっており、今や40兆円規模です。

国の税収は50兆円くらいですから、まあすごい額ですよね。

そしてこの本を通して言いたかったことというのが、

「医者や病院が多い県ほど医療費が増える」

「医療費が増えても健康の度合いや寿命は変わらない」

ということだと思います。

 

都道府県によって人口あたりの病院のベッドの数は違います。

しかし病床が多い県ほど一人あたりの医療費が高く、2倍以上の差があるというのです。

住んでいる都道府県によって2倍以上も病気になりやすい、ということは無く、結局病院のベッドが余っているから患者をどんどん入院させようとしているという現実があるのです。

 

僕もいわゆる金儲けを頑張っている病院で働いていたことがあるので、よく分かります。毎朝ミーティングで「今日はベッドが20床空いているのでどんどん入院を促してください」といったようなお達しが出ておりました。

そして入院する必要のない人を入院させていく・・・。

 

それでも入院したい人は多い

 

これは僕のような生来健康な若者や、やりたいこと・やるべきことで埋まっている人には分からないことなんですけど、世の中には入院したい人、というのがいます。

心配だから入院させてほしい、ということなんですね。

 

もちろん入院治療の必要があればしっかりお伝えするのですが、全然入院する必要が無くても、家に一人でいるより病院の方が良い、という私生活の人は多いのです。そして事あるごとに入院させてくれ、と言ってきます。これはもしかしたら刑務所の方が生活レベルが高いから軽犯罪を犯す人と似通った部分があるのかもしれません。

いちいち説得するのも大変なので、ベッドが空いている時には入院させている現実はあります。これは僕の話ではなくて、一般的に現在でも行われていることです。

 

 

それは別に怠惰だとかそういう意味ではなくて、傍目に見て分かる辛い現実です。

例えば超高齢の親を高齢の子供が介護しており、調子が悪くなって手がかかるようになると、家で見るのが大変だから自宅療養よりは入院の方が嬉しいということです。

 

昔は医者まかせで良かった

 

この本で言っている内容ですけど、明治時代なんかは多くの人が肺炎なんかの感染症で亡くなっており、平均寿命も60歳代とかだったので、抗菌薬で1週間位バシッと治療すれば治ってしまうものだったんですよね。

でも現代の主な死因はがんや生活習慣病がベースになっており、平均寿命も80歳を超えて来ています。1週間バシっと治療すれば治る、という話ではないので、より患者さん自身やその家族がが「自分の人生をどう生きて、どう死ぬか」を覚悟を持って考えていく必要がある、と森田さんは書かれています。

 

一度上がった生活レベルは落とせない

 

森田さんの書かれている「病床の多い県の県民は少ない県の県民の2倍も医療費がかかる。病人は病院がつくる。」

という主張ですが、これは一度生活レベルが上がると戻せなくなるのと同じなのかなと思います。結局人はあるものは全部使い切ろうとするんでしょうね。

 

森田さんと僕の考え方のちがい

 

森田さんは人工呼吸器を付けたり鼻からチューブで栄養を入れられて、殺風景な病室で認知症のまま誰もお見舞いにも来てくれず、ただ生きているだけのような高齢患者さんを大量に見て、医者を辞めようと思ったそうです。

この点は僕とほとんど同じです。このような医療に与することが、未来の社会に対する悪徳なのではないかと疑問に思って一旦立ち止まってみようと僕も思ったわけです。

 

ただその先が僕と森田さんの違いです。

森田さんは夕張での生活から、地域コミュニティをもっと強固にして、ご近所さんで支え合う頼り頼られる生活・家で看取る終末期医療によって問題解決を見出そうとしている、と僕は読み取りました。

 

僕はこれからの時代、地域コミュニティでなんとかなるもんじゃないでしょ、と考えています。

一人暮らし世帯が増え続けている現在では、親の介護を子供がしたり、お隣さんと仲良く協力していくなんて無理じゃないかな、と都心に住んでいて思います。

それから在宅診療も維持できなくなると考えています。

在宅診療は今たくさんの熱意と誠意あるドクターが頑張って支えている現状ですが、ゴミ屋敷に住んでいる独居高齢者なども多く施設で看取った方が良さそうだと思っています。その確信というのが、施設入所を嫌がっていた高齢者も、施設に入ってみるとけっこう満足そうにしている現状をたくさん見たことです。何より介護者の負担が劇的に減ります。特に老老介護の世帯では、殺伐とした親子関係が垣間見えて、嫌な気持ちになったことも多いです。

医師が片道30分くらいかけて、家を回るのもとても効率が悪いと思います。

人口減少社会では、ゆるやかな撤退戦略として、コンパクトシティへの集中が必要ではないか、と僕は考えています。